こだわりの製法

まだ夜が明けきれない早朝。古い小学校跡の校舎を工場とし、『ほたる味噌』の味噌作りを行っております。
ほたる味噌の一番のこだわりは、「麹に合わせて作業する」事です。大豆に混ぜる麦麹を仕上げるまでに約40時間かかるので、麹は3日前に仕込みます。そして、3日目の朝5時に麹が出来上がるので、それまでに混ぜ合わせる材料の準備をするために、早朝からの作業になります。
一番良い状態の麹で味噌を作るために、麹に合わせて作業しています。

工程1~大豆を蒸す~

ほたる味噌に使う材料は、大豆と麦麹、塩、天然のわき水のみです。毎日口にするものだからこそ、無添加にこだわっています。
大豆は、時間をかけて煮ると、味がぼけるため、蒸気の圧力(約130℃)で一気に短時間(15~20分)で蒸します。そうすることで大豆に甘みが出てきます。
蒸しあがった大豆は、扇風機を回しながら冷まし、木のしゃもじで切り混ぜておきます。
大豆の状態は、小指と親指でつまんで、つぶれる位がちょうど良い蒸し加減です。

蒸気の圧力で一気に蒸す

蒸気の圧力で一気に蒸す

大きな木の容器に大豆を移す

大きな木の容器に大豆を移す

蒸し上がった大豆は甘みが増す

蒸し上がった大豆は甘みが増す

工程2~大豆をペーストする~

1回の仕込みで使用する36kgの大豆を、4回に分けて蒸し上げ、充分に冷ました後、ミンチ機にかけてペースト状にしていきます。

大豆をペースト状に

大豆をペースト状に

少量ずつペーストしていく

少量ずつペーストしていく

大豆がモンブランの様に

大豆がモンブランの様に

工程3~麹をほぐす~

約40時間かけて出来上がった麹の固まりを丁寧に手で押し崩して大豆と混ぜやすくしていきます。
40時間のうち、数回は麹の様子を見に来ては、固まった麹を崩し、空気に触れさせる、という作業を繰り返し、状態の良い麹が出来上がるのです。
麹は、底に少しだけ黄色い花のようなものが付いた状態がベストです。
このようなベストな状態の麹を作るまでに、約5年はかかりました。試行錯誤を繰り返し、やっと味噌作りに適した麹に出会えました。

出来上がった麹のかたまり

出来上がった麹のかたまり

麹のかたまりを崩していく

麹のかたまりを崩していく

かたまっていた麹をくずしてサラサラに

かたまりを崩してサラサラに

工程4~材料を混ぜ合わせる~

完成した麹、塩、蒸し上がった大豆を機械で混ぜ合わせます。
麹と大豆を合わせるベストのタイミングは1~2分程です。そのタイミングに合わせて全作業の工程を行います。早朝からの作業も麹の為です。全ての時間を麹に合わせています。
麹と塩、ペースト状の大豆を混ぜ合わせ、水分調整の為に、最初に大豆を蒸した時に出来た煮汁を種水として加えていきます。塩分が全体に行きわたらないと発酵の力が弱くなるので、細かく混ぜ合わせていきます。
味噌は大量生産の場合、大規模な施設で、わずか2日間で麹を仕上げるところも多く、そのため味を均一化させるためにアミノ酸を加えて味を調整する場合もありますが、当ほたる醸造では、麹の状態を細かくチェックし、管理しているので、3日間をかけて味の均一な無添加味噌を作っています。

材料を機械で混ぜ込んでいく

ペースト状にした大豆を混ぜる

種水を加えて水分調整

工程5~味噌を樽に詰める~

きれいに材料が混ぜ合わさったら、カビの発生を防ぐため、空気が入らないように丁寧に手でならし、シートで密閉します。
発酵に必要な樽中の水分は重石によって下から上に上がって循環します。樽に入れてしばらくは軟らかい状態でも、10~20分で麹が水を吸い込み、手が入らない位までしまってきます。
味噌作りを始めてから約16年、作業の際に、加えた塩の分量、麹の状態など、一つの工程が終わるごとにメモを残しそのデータのお陰で現在の味噌が完成しました。今となってはそのノートの数々は宝物です。

空気が入らないよう手でならす

重石をかぶせる

分量や状態のメモを必ず残す

工程6~味噌の完成~

仕込んだ樽は、温蔵庫で30日間熟成させます。その間も、匂いと味をみて、熟成具合を確かめて完成を待ちます。
味噌のことを何も知らずに始めて、基礎を確立させるのに3年、8年目でやっといい味の味噌が出来始めました。
朝が早く、繊細な温度管理が必要とされる味噌造りで大変そうに見えるかもしれませんが、生き物を相手に、日々変化がある面白い仕事だと感じています。
これからも味噌を作り続け、より美味しい味噌を目指して日々邁進していきたいと考えています。

貯蔵庫で寝かせられる味噌樽

ほたる味噌